2021.12.14
  • コラム

実際にあった失敗談から学ぶ不動産投資!

株式、FX、債券、ゴールド、不動産、仮想通貨など多くの金融資産が存在しますが、どの金融資産もリスクとリターンは常に同等であり、ローリスクハイリターンなんて虫のいい話はありません。

 

一般的に現金や債券はローリスクローリターン、FXや仮想通貨はハイリスクハイリターンと言われますが、不動産投資はミドルリスクミドルリターンに当たります。

 

不動産投資では値上がりによる売却益や安定した家賃収入、節税効果など多くのメリットがありますが、逆に多くのリスクも存在します。

このリスクを理解せずに無防備に不動産投資に手を出してしまうと、不動産投資はあえなく失敗に終わってしまいます。

 

そこで今回は、実際にあった不動産投資の失敗談をもとに一般的なリスクとそこから得られる教訓をご紹介します。

 

〈実際にあった不動産投資の失敗談〉

40歳のエリートサラリーマンAさん:節税目的の区分マンション投資

 

40歳で年収が1500万円を超えたサラリーマンのAさんですが、年収とともに増える税金に悩まされていました。

そこで友人から不動産投資が節税になると聞き、不動産会社を紹介してもらい区分マンション投資について説明を受けました。

 

区分マンション投資は不動産投資の中ではリスクもリターンも比較的少なく、言うなれば初心者向けの不動産投資です。

入居者から家賃を得て、そこからローンや管理費などを支払うことで月々のキャッシュフローはほとんど得られませんが、不動産の減価償却や諸経費を含めると不動産所得自体は赤字になります。

 

この赤字を給与所得と合算することを損益通算と言い、これにより給与所得を目減りさせて節税することができるのです。

給与所得を目減りさせれば所得税の税率を下げることができ、さらに住民税も減税できるため、高収入な人であればあるほど節税効果は高まります。

これを聞いたAさんは不動産会社の勧める物件を3部屋購入しました。

 

実際に最初の数年はうまく節税できていましたが、その後状況は一転します。Aさんが不動産を購入から3年経った時に、急な転勤で給与が大幅に減ってしまったのです。

 

節税効果を期待して購入した投資物件の場合、その他の所得が高いことが前提条件に成り立っている投資です。

病気や転勤などで給与所得が想定外に減れば、思ったほどの節税効果は得られ無くなります。

その後Aさんは資金繰りに悩まされるリスクを抱えることになってしまいました。

 

教訓:

区分マンション投資自体が悪い投資ということではありません。

給与所得が安定して高い方にとってはリスクの割に高い節税効果が得られますが、節税効果は不動産投資の副次的効果の1つでしかありません。

基本的には不動産投資の主目的は資産形成であり、自分の状況やキャリアによって良い投資にも悪い投資にもなるため、投資を始める前に慎重な判断が必要になります。

 

32歳の個人事業主Bさん:資産性の高い区分マンション投資

 

個人事業主のBさんは老後に不安を感じて、安定した家賃収入が見込める資産性の高い投資用マンションを探していました。

そこで不動産業者の勧めるまま、超一等地である白金の中古マンションを約8000万円で購入しました。

 

「白金」「港区」というパワーワードに乗せられて特にリサーチせず購入してしまったBさんでしたが、それが後々大失敗に繋がってしまいます。

購入から1年ほど経過した時、同じマンションの複数の部屋が約5000万円で売りに出されていることに気付いたのです。

Bさんが購入した不動産業者は、仕入れた物件に対して大幅な利益を上乗せして転売する悪徳不動産業者だったのです。

 

さらに悲劇は続きます。

5000万円で組むはずのローンが、8000万円もの大金をローン返済しなくてはいけないため、本来であれば月々のキャッシュフローは大幅なマイナスになるはずです。

そこで不動産業者はBさんが購入を躊躇しないように、なんと投資用マンションであるにも関わらず住宅ローンを組ませていたのです。

住宅ローンであれば不動産投資用のローンに比べ低金利でローンが組めるため、Bさんが支払う月々の持ち出し金額を目減りさせられるのです。

 

住宅ローンはあくまでマイホームを購入するために組むローンであり、契約者本人やその家族が居住するための住宅にのみ適応され、人に貸し出す物件には適応されません。

つまり融資してくれた金融機関に対する詐欺行為であり、知らず知らずのうちにBさんも詐欺行為に加担していたことになります。

Bさんは価格上乗せ詐欺と住宅ローン詐欺を同時に食らってしまったのです。

 

仮に住宅ローン詐欺が金融機関に発覚してしまうと、融資は打ち切りとなり残債の一括返済を求められます。

自分が詐欺に加担していることを知ったBさんは売却することに決めましたが、購入後1年しか経過していなかったため残債は7000万円以上残っていました。

物件を5000万円で売却し、結局1年間で2000万円以上の身銭を失うことになりました。

 

教訓:

Bさんは勉強不足のまま不動産投資に手を出してしまいました。

不動産を売買する際には必ず事前に周辺の物件の売買価格をリサーチして比較するべきです。

不動産業者がどれほどの利益を乗せているのか、もしくは安値で買い取ろうとしているのか慎重に精査する必要があります。

また低金利な住宅ローンは魅力的ですが、もちろん投資用不動産には利用してはいけません。

 

45歳の経営者Cさん:築古一棟アパート投資

 

Cさんはもともと節税目的で区分マンションを複数所有していましたが、節税効果の薄れた保有物件のいくつかを売却したことで余剰資金が出たため、千葉県の築古一棟アパートを購入しました。

 

築古の場合、物件を安価に購入できる上に物件の値下がりに対して賃料の下落割合が低いため高利回りを期待できます。

減価償却費も大きいため節税効果も期待できますが、様々なデメリットも存在します。

 

Cさんは資金に余裕があり物件も安価であったため十分な現地調査を行わずにアパートを購入しましたが、数ヶ月後に共有部分の廊下の床が抜けてしまいました。

 

修繕費用はなんと400万円!

高利回りといえ購入直後に手痛い出費となってしまいました。

今後も他の部分で修繕が必要になる可能性が高く、そうなれば空室リスクも高まるため、安易に購入したことを後悔する羽目になりました。

 

教訓:

Cさんの落ち度は、物件の管理状況の確認を怠ったことです。

管理の重要事項調査報告を確認すれば修繕の状態を手軽にチェックできたはずですし、実際に足を運べる距離にある物件であれば直接自分の目で確認するべきでした。

 

 

36歳医師のDさん:新築一棟マンション投資

 

医師のDさんは年収3000万円と高収入でしたが、働き続けることに疲れていたため不労所得に憧れて、新築一棟マンション投資に挑戦することにしました。

 

新築一棟マンション投資は、築古と異なり大規模な修繕や空室のリスクが低く賃料が高い点で有利ですが、物件価格が高く節税効果は低いです。

かなり高額なローンになるため、ある程度の頭金を用意する必要もあります。

 

Dさんの場合、総額3億円で都内に土地を購入し、その土地に1部屋20㎡ほどのワンルームが20戸入ったマンションを1から建築しました。

駅近の土地も空いていましたが、Dさんの資金力では駅から徒歩10分以上の土地を買うのが限界でした。

 

しかし、不利な立地と新型コロナウイルス蔓延が重なり、事前に想定していたよりも入居者が入りませんでした。

さらに建築時期が梅雨であったこともあり、複数の入居者から「部屋に虫が湧いている」というクレームが出てしまったのです。

 

建物全体の虫駆除を行うため、せっかくの入居者を全員一時退去させることになり、ローン返済や虫駆除の費用を自腹で支払う羽目になってしまったのです。

 

教訓:

一棟マンション投資は不動産投資の中でもハイリスクハイリターンな投資であることを理解しておくべきでした。

 

一棟投資は「一極集中型」投資であるため、リスクが分散されていません。

不利な立地や、虫発生のような建物全体に関わる問題が全ての部屋に影響してしまうのです。

また新築一棟マンション投資は賃料が高い点で魅力的ですが、Dさんのように多くの空室が出ると期待していたリターンは得られなくなり、むしろ損失を被る可能性もあるのです。

 

〈まとめ〉

不動産投資にはたくさんの魅力がある反面、紹介した失敗談のように知識と経験がなければ失敗するリスクもあります。

逆に言えば、知識や行動次第で回避することができるリスクも多いため、失敗事例から得た教訓を今後の投資に生かしてもらえれば幸いです。