2021.12.03
  • コラム

不動産投資で所得税と住民税の節税対策ができる?!その理由を徹底解説

給与所得者の節税方法としては、ふるさと納税やiDeCoなどが有名ですが、不動産投資による節税効果とはどういったものなのでしょうか。また、どのようなメリットや注意点があるのでしょうか。

本記事では、不動産投資が所得税と住民税の節税対策になる仕組みについて、詳し

く解説していきます。

所得税と住民税の課税の仕組みを解説

まずは所得税と住民税の課税の仕組みを簡単に説明致します。

所得税は、個人の所得に対してかかる税金で、一年間の全ての所得から控除額を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し計算します。

所得税の計算方法 【所得税額 = 課税所得金額 × 税率 – 控除額】

税率は所得が多くなるにしたがって段階的に高くなる超過累進課税方式です。そのため、不動産投資によって課税所得金額を減らした場合の節税効果も人によって異なりますので、注意が必要です。


住民税の計算方法【
住民税額 = 課税所得金額 × 税率 + 均等割

住民税は、定額部分の「均等割」と、所得に比例する「所得割」があり、合計額を納付します。「所得割」は、課税所得に道府県民税(4%)と、市町村民税(6%)の税率をかけることで計算されます。

住民税の場合も、税額控除された残りが納税額となります。所得税とは所得控除される金額が異なりますが、税率の区分が無いため、節税効果は10%と分かり易いです。

 

不動産投資をすると節税対策になるのか

不動産所得は損益通算が認められています。帳簿上で不動産所得が赤字であれば、その赤字分を給与所得から差し引くことで課税所得を減らすことができ節税になります。

不動産投資を始めた初年度は特に不動産所得のマイナスが大きくなるため節税効果が大きくなります。

不動産所得を計算するためには以下の金額を使います。

不動産所得に含まれる収入

  • 賃貸料
  • 更新料
  • 礼金

必要経費として認められるもの

  • 租税公課(固定資産税・登録免許税・不動産取得税・印紙税)
  • ローン金利(※元金返済分は除く)
  • 保険料(火災保険料・地震保険料)
  • 管理費(建物管理費・賃貸管理費)
  • 修繕積立金
  • 修繕費(エアコン・ハウスクリーニング代等)
  • 減価償却費(建物・付属設備)
  • その他経費(司法書士、税理士報酬・手数料・ローン保証料・交通費等)

必要経費の注意点

ローン返済額は元金部分について、経費として認められておりません。また、ローン金利のうち、土地相当分についても、経費計上ができるのは不動産所得が黒字の場合に限られます。

節税対策として効果的なのが「減価償却費」です。実際には金銭的な支出をしていない金額を長期間に渡って経費計上できるので、押えておきたい費用です。

減価償却費について

減価償却とは、長期間にわたって使用される固定資産の取得に要した支払額を、耐用年数に応じて費用計上する手続のことを言います。

例えば、100万円で耐用年数5年の物品を購入した場合は、100万円を5年間で償却するので、毎年20万円を経費に計上することになります。

減価償却には「定率法」「定額法」などの計算方法があります。

不動産投資においては、建物にかかる費用を減価償却により費用計上できるのですが、定額法を使います。定額法とは、減価償却の対象となる固定資産の購入代金を原則、法定耐用年数の期間で同額ずつ償却していく方法のことを指します。

建物に関する減価償却費の計算式は、以下の通りです。

建物価格 × 償却率 = 減価償却費

定額法により計算しますので、毎年同じ金額が償却(経費化)されることになります。償却率は、耐用年数ごとに定められています。

耐用年数については、マンション (鉄筋鉄骨コンクリート・住宅用) は47年となり、設備 (アーケード・電気設備・給排水他)については 15年と定められています。

中古の不動産を取得した場合は、法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数が耐用年数になります。例えば、築10年の中古の不動産を取得した際の耐用年数は39年になります。

不動産投資で節税になる事例を試算

実際に不動産投資をしてみた場合、どうなるか簡単に説明していきます。

中古ワンルームマンションを購入(4月30日引き渡し:築10年)

【購入額】 3,000万円 (土地価格1,400万円・建物価格1,600万円)

【不動産収入】 88万円

【経費合計】 172万円

内訳:租税公課20万円 ローン金利:25万円 減価償却費:41万円

支払手数料(司法書士報酬等)70万円 管理費16万円 など

【不動産所得の収支】 ▲84万円

この試算の通り、不動産投資をした初年度は購入時の諸費用を経費として計上することができるので、大きく課税所得を減らすことができます。

課税所得を減らした効果は他の収入によって変わってきますが、1,000万円を超える年収がある方は税負担も重くなるので大きなメリットを感じることができます。

注意点としては、節税効果は年々薄れていくことになります。節税対策はあくまでも不動産投資の一つのメリットにすぎません。

帳簿上の赤字を追求するよりは、安定した収益を得て資産形成をしていく中で、上手に税金をコントロールするという意識をもって取り組むとよいでしょう。

まとめ

不動産投資は帳簿上で不動産所得が赤字であれば、給与所得と損益通算し課税所得を減らすことができ、結果として節税効果を得ることができます。

ポイントは「償却資産を持つ」ということです。実際には支出していない減価償却費を計上できるのです。

収入が高い方は税負担を重く感じている方も多いのですが、不動産投資を行うことでより大きな節税効果を得られます。

しなしながら、節税効果は不動産投資の一つのメリットにすぎず、長期にわたる不動産投資の一つの要素でしかありません。

節税効果についても長期的な計画の一部として考えてみるとよいでしょう。

難しく感じる部分があれば、専門家に相談すると適切なアドバイスを受けられるので安心です。

不動産投資をすると、会計と税務の知識を得ることができます。結果として、税金全般に強くなるかも知れません。不動産投資をすると資産形成が進む方が多いのですが、その理由はここにありそうです。